エコー検査とは、超音波を使って体の断面をみる検査です。心エコーは動画で見ることができるので、心臓の動いている様子がわかり、様々な心臓の病気の診断ができるだけでなく、重症度の判定にも役立ちます。

CTscan、MRIでも体の断面を見ることはできますが、大掛かりな設備が必要です。またレントゲンやCTscanと違い、繰り返し行っても放射線被爆など健康被害の心配はありません。CTscanに比べ画像の鮮明さは劣りますが、エコー検査は様々な断面でみたい深さを設定して見ることができるので、心エコー検査では皮膚や骨、肺などをはずし、心臓だけを見ることができます。動画としてみることが可能なので、心臓が動いている様子から心臓の働きまで評価することができます。この検査のみで病気の有無から重症度、手術の要否まで診断することができます。

心臓は右心房と右心室、左心房と左心室の筋肉でできた4つの部屋で構成されています。心房には心室同様、多少血液を絞りだす働きがありますが、主な働きは血液を貯める袋です。全身を回って還ってきた血液は右心房に貯められ、右心室へ送られます。右心室には、右心房との間にある入り口と、右心室から肺へと血液を送る肺動脈との間にある出口に、向きの異なる二つの弁があります。右心室が血液を絞り出すと出口の弁が開いて肺へと血液が送り出されますが、その時入り口の弁は閉じ、右心房に逆流しないようになっています。血液を絞り出し終わった右心室は緩んで拡がり右心室の中の圧がなくなります。そうすると肺動脈の圧の方が高くなるので肺動脈から右心室に血液が逆流して来ようとします。しかしその圧に押されて出口の弁が閉じるので逆流しません。また血液が沢山貯まった右心房の圧が右心室の圧より高くなるので、入り口の弁が開き右心房から右心室へ血液が入ってきます。この動きを繰り返し全身から還ってきた血液が肺へと送られるのです。肺で酸素を取り込んだ血液は左心房に還ってきます。左心房に貯まった血液は左心室へ送られます。左心室も右心室と同様に入り口と出口に弁があり、交互に開閉することで血液を大動脈へと絞り出しています。 このようにして心臓は血液の流れを作っているのです。いずれか(主に左心室)の弁が変形して開きが悪くなったり、閉じ が悪く逆流が起こったりするのが心臓弁膜症です。高血圧や弁膜症により左心室が血液を絞り出すのに、通常より力がいるようになると左心室の筋肉が厚くなってきます。これを心肥大(左室肥大)と言います。また様々な原因で左心室の力が弱くなると左心室の内腔が大きくなります。これを心拡大と言います。また心筋梗塞が起こると梗塞に陥った部位が動かなくなります。心エコー検査を行えば、これらのことがよくわかり、特殊な計算式から心臓の各部位や肺動脈の圧が求められます。こうして多くの心臓病の診断と重症度の判定が行われます。

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